鉢&田島征三・絵本と木の実の美術館

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2024.4.25(木)

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Tashima Seizo Picture book field

絵本のはらっぱ

ぼくのこえがきこえますか

戦争で奪われた命は魂となって、どこへでも行けるようになった。ぼくたちのすがたは だれにも みえないけれど、あなたにつたえたい。日・中・韓の作家たちが手を取り伝える、悲しみの記録。

出版社
童心社
作者
田島 征三
発行年
2012年
価格
1,815円(税込)

日本・中国・韓国の12人の絵本作家が手をつなぎ、平和絵本を出版した。田島征三は『ぼくのこえがきこえますか』を魂込めて描き上げました。平和絵本の出発は、作家からの呼びかけでした。出版に至るまで何度も対話を重ね、各国が犯してきた事実を包み隠さず共有することを繰り返しました。

くらくて さむい。
ぼくは しんだんだろうか。
めも みみも ないから
なにも みえないし、
なにも きこえない。
でも、ぼくの こころが
なにかを み、
なにかを きき、
なにかを かんじはじめている。
ぼくには あしが ないのに、
どこにでも ゆけるような きがする。

戦争で奪われた主人公の魂は、母や弟のもとへ。怒りや深い悲しみが、淡い泥絵の具の揺らぎやしぶきで表現されます。

だれのために ころし、
だれのために ころされるの?
なんのために しぬの?

選び抜かれた言葉ひとつひとつが、画面のうねりと共に飛び込んできます。
この絵本は、戦争と平和を描いた優れた絵本として、IBBY(※)の “Very Best Book(世界中で読んでもらいたい本)”に選ばれるなど、海外でも高く評価されています。
※JBBY:日本国際児童図書評議会(https://jbby.org/news/domes-news/post-9630)

平和絵本市リースのひとつ、韓国の作家クォン・ユンドクさんの従軍慰安婦をテーマにした絵本『花ばあは』は、日本で予定通り出版されませんでした。年月が経ち別の出版社で出版が実現したときには、絵本と木の実の美術館でお祝いをしました。
田島征三さんは、絵本『花ばあば』が全国の図書館に所蔵されるよう強く願い声を上げています。

【関連する作品】
▼韓国の作家クォン・ユンドクさんの絵本
≫『花ばあば』
▼東京大空襲のエピソードから生まれた絵本
≫『猫は生きている』

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