ほらいしころがおっこちたよ ね、わすれようよ
「きょうは、とびきりのじょうてんき。ふだんは、なにをやっても しっぱいばかりしている おじいさんも、こんな日は ぜんぶ うまくゆくようなきになってしまいます。」 良く晴れたある朝、おじいさんが張り切っては繰り返す失敗の数々…。それを、ひとつの石ころを落とすことで気持ちを入れ替え、夫婦笑顔になるはずが…!
- 出版社
- 偕成社
- 作者
- 田島 征三
- 発行年
- 1980年
- 価格
- 2,420円(税込)
“何をやってもうまくいかない日って、誰でもあると思います。そんな時、一緒に失敗を笑ってくれる誰かがそばにいるって尊いことです。おじいさんとおばあさん夫婦は、おじいさんが一つ失敗したら、小さな石ころをぽとりと落っことして、もう何もなかったことに。次は大きめの石、次はバケツ、最後はほうき!ほっと優しい気持ちになれる物語です。
この絵本はリトグラフ製版の原画が用いられています。日の出村で自給自足生活を送りながら、絵本『ふきまんぶく』「とべバッタ」などの名作を生みだした田島征三ですが、新たな創作に到達する苦しみの渦中にいました。この絵本は、そんな苦しみから一歩踏み出し、新たな境地に辿り着いた作品となりました。ナスカの地上絵からインスピレーションを得て描かれ、一筆描きを意識した人物描写が表現されています。黒・青・黄・赤に色数を絞ることで、抽象的でありながらも物語として1ページ1ページがつながるように構成されています。この絵本を出版後、更に独自の創作を貫くアーティストとしての道が開けていきます。”