やまからにげてきた・ゴミをぽいぽい
あきたからぽい。あまったからぽい。まだつかえるのにぽい。 ゴミが燃やされた灰はどこへいくのだろう。 住処を失った動物たちの声が聞こえてきます。
- 出版社
- 童心社
- 作者
- 田島 征三
- 発行年
- 1993年
- 価格
- 1,430円(税込)
田島征三が1969年から約30年暮らした東京都西多摩郡旧日の出村。かつては日本の原風景が残る、豊かな自然に恵まれた里山でした。
自給自足の生活に寄り添いながら絵を描く生活をしていた田島征三のユートピアといえるこの地に、1983年、谷戸沢廃棄物広域処分場が建設されます。さらに、次の巨大ゴミ処分場が建設されることを知った田島征三は、反対運動を起こします。
活動資金を調達するために描かれたのが、この絵本『やまからにげてきた・ゴミをぽいぽい』でした。田島征三が、初めて社会問題を創作の題材にして描いた絵本でした。この絵本は、表紙と裏表紙の両方から物語が読める工夫がされています。表紙は森の動物たちが森から「たすけて」と叫びながら登場する物語。裏表紙は、なんでもゴミとして捨ててしまう人間の生活を切り取った物語です。ちょうど真ん中のページで2つの物語が重なります。そのページは、巨大なゴミ処分場のブラックホールに、無数のトラックが建ち並ぶ様子が描かれています。田島征三は、講演会でこの絵本を度々取り上げ、今も続く日の出の森を守る運動への思いを語っています。
【関連する絵本】
▼日の出の森を守るために描かれた本
≫『日の出の森をたすけて』(エッセイ)
≫『森に棲みついた悪魔』
≫『森からの手紙』