鉢&田島征三・絵本と木の実の美術館

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2024.4.24(水)

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Tashima Seizo Picture book field

絵本のはらっぱ

ぼく、おたまじゃくし?

たくさんの仲間とともにカエルになるつもりだった、ぼく。でも、自分だけ足も手も生えてこない。やがて仲間はカエルになり、旅に出てしまった。ぼくにはかわりに立派なひげが生えた。ぼくは、カエルでなくてナマズだった!兄弟カエルたちがぼくを川まで運んでくれて、ぼくは本当の自分を探しに出発した!

出版社
佼成出版社
作者
田島征三
発行年
2018年
価格
1,430円(税込)

誰しも、みんなと違うところに悩んだり、周りの人と自分を比べたりすることはありますよね。やがて、自分らしくいることが何より幸せだということに気付く時がくる。そんな、小さな勇気を分けてくれるような物語です。水のそばで生きる生きものたちの表情が豊かで、思わず愛着がわきます。生きもの大好き!というかたにもおすすめです。

小学校に上がる年の早春、ぼくは田んぼに水を引く用水路で
おたまじゃくしを何匹かすくい上げ、家に持ちかえり、
外の水槽に入れて飼っていた。その中にナマズの子どもが混じっていた。
おたまじゃくしたちはやがてカエルになり、飛び出していったが、
ナマズはいつまでもそのままだった。
この絵本の主人公のナマズがそうであったように、
ヒトも自分の本当のことがわからない。
でも、いつか自分の価値に気付いて、自立してくのだ。
ところで、ぼくはナマズがかなり大きくなるまで飼い続けたが、
ある大雨の夜、水槽の水があふれて、どこかに逃げていった。
そのナマズは今でも、雨の中の草むらを川に向かって逃げ続けている。
ナマズはぼくの想いの中から逃げ出して、ついに絵本になった。
-田島征三

【関連する作品】

▼水生生物が登場する絵本
≫『とわちゃんとシナイモツゴのトトくん』

▼田島征三の幼少期の体験が描かれた絵本
≫『つかまえた』

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